『ジョニー・イングリッシュ~アナログの逆襲』atおうちシネマ

イギリスを代表するスパイ映画と言えば?
やはり『007』シリーズ?
『007』シリーズを含め、多くのスパイ映画が配信されている。
今回お話しするのは『007』をオマージュしたイギリスのスパイ映画『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』である。
厳密に言えば『007』シリーズをおちょくったスパイコメディー映画『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』である。
これ、2018年制作されている。しかも3作目…。(1作目は2003年制作)
そんな時代遅れでアナログ人間な私にピッタリなタイトル!

あらすじ

イギリスの諜報機関MI7がハッキングされ、全スパイの情報が流出してしまった。
G12サミットの開催を控えた首相の命令で、スパイを引退していたジョニー・イングリッシュが再び国家を救うべくスパイの世界に戻ってきた。
敵はサイバー攻撃を仕掛け、イギリス国家のみならず世界を征服しようとする恐ろしい人物。
時代遅れでドジなジョニー・イングリッシュにこの世界は救えるか⁉

ローワン・アトキンソンという品位あるコメディアン

この映画の主役、ジョニーイングリッシュを演じるのはイギリス人俳優のローワン・アトキンソンだ。
私の中で、ローワン・アトキンソンといえばMr.ビーンだ。
『Mr.ビーン』は、1990年代にイギリスで制作されたコメディードラマだ。
ドジでマイペースなビーンが大真面目に何かをやるたび、騒動が起きる。
ビーンに悪気がないだけに、被害に遭った人々がひたすら可哀想になるが、そんな理不尽さも含め、
イギリスらしいシニカルな笑いが散りばめられている。
会話がほとんどなく、ビーンの動きや表情、周囲のリアクションで見せるタイプのコメディーなので、
「アイ・キャンノット・イングリッシュ」で全てを乗り越えようとしている英語が苦手な私でも理解できる。
(このような動きや表情だけで表すコメディーをビジュアルコメディーというらしい)

ローワン・アトキンソンが演じる人物は大抵がすっとぼけていて、ドジでヘマこいてばかりなのに根拠のない自信に溢れている。
多分自分軸で生きていて自己肯定感が高いんだろう。
この映画におけるジョニー・イングリッシュもドジでまわりに迷惑ばかりかけているが、全く気にしない。
いや、周りに迷惑をかけていることに気が付いていない。
また他のスパイ映画に出てくるようなシュッとした外見でもない。
でもなぜか関わったみんながジョニー・イングリッシュのことを好きになる。
そんな風変わりなおっさんが、国の危機を救うんだから痛快と言わずなんと言おう。

変なおっさんを演じさせたら世界一のローワン・アトキンソンだが、インタビューを見たりすると、
品位ある落ち着いた喋り方や佇まいで、役柄とはずいぶん違う印象を受ける。
きっとイギリスの中でもええとこのご出身なのだろう。

そしてこの映画が、ドタバタコメディなのにどこか上品な雰囲気があるのは、
ローワン・アトキンソンという俳優の品格がスクリーン越しに見えているせいかもしれない。

『アナログの逆襲』←これっ!アナログなめんなよ!

世の中は、やれデジタルだ、やれAIだ、やれVRだ、なんちゃらかんちゃらと最先端のものが溢れかえっている。
ちょっと調べ物をしようとスマホを見れば、なんだかよくわからないカタカナの羅列で頭がこんがらがる。
出てきたよくわからんカタカナを調べる。またよくわからない言葉が出てくる。
そしてはじめのちょっとした調べものが、底なし沼のようなカタカナワールドに埋もれてしまう。

自分もただこの世に息をしているだけで、デジタル社会の恩恵に預かっているのは認めよう。
でも「さぁ、あなたもやってみて。簡単だよ♪」と言われると躊躇してしまう。
アレクサやsiriに躊躇なく話しかけている人を見ると、「これがコミュ強っちゅうヤツか!」と感動する。
最近の企業のお問合せコーナーは、電話ではなくチャット方式になっている場合が多く、問い合わせようとするだけで緊張する。
アナログ人間には生きにくい世の中で困る。
書いていて思ったがアナログ人間云々の前に、ただ自分が引っ込み思案なだけなのかもしれない。

でも、ジョニーイングリッシュはそんな世の中を気にすることなくアナログ道を突き進む。
カッコいいなぁ。
車は旧型、渡されたスマホはポイっ!電話は公衆電話で、資料はファックスで。
一見アナログをバカにしたような内容だが、最後はきっちりアナログの勝利となる。
特にデジタル機器をアナログな使い方で敵をやっつけるところが秀悦だ。

デジタル > アナログではないんだ。
ハイテク > ロウテクではないんだ。
普段アナログ人間であることを引け目に感じている私にはバイブルのような映画だ。

スゴいけどへんてこなスパイグッズ

妙ちくりんなスパイグッズというのは『007』シリーズからのお約束だ。
本映画にも当然出てくる、そりゃぁわんさかと。
そしてそれらスパイグッズの映画での重要度といったら本家『007』をはるかに凌ぐ。

ジェームズボンドが甘いマスクで落ち着き払いながらへんてこスパイグッズを使っている姿はシュールで、「これ、笑っていいんだろうか。」と悩んでしまったが、
ジョニーイングリッシュが使うと、変なおっさん×変なグッズの化学反応が起き、抱腹絶倒の言葉通り、お腹抱えて笑ってひっくり返りそうになった。
今、思い出しても笑える。

実はイギリス人も、『007』に出てくるスパイグッズが、へんてこに見えていたんだろうなと思わせてくれる。

アストンマーチン!アストンマーチン‼

スパイ映画に欠かせないものとして車がある。
私は車に造詣深くなく、走ればよい・燃費が良かったらなおよいくらいの熱量しかないが、イギリス車の外見には昔から憧れがあった。

ジェームズボンドにはアストンマーチンをはじめとしたカッコいいボンドカーがあったし、『キングスマン』の主人公がラストシーンで乗っていたジャガーの美しさに息を呑んだ。
そして本映画のジョニーイングリッシュの足となるのが、アストンマーチンv8だ。
(正しくは「アストンマーティン」らしい。ずっと「アストンマーチン」と言っていたのでそのまま表記します。)

明るい赤(正式な色の名前なんて言うんでしょうね…)のツヤツヤボディに渋く光るエンブレム、
居並ぶ最先端車両を尻目に滑らかに発進していく姿は、誇り高い老英国紳士といった風情でものすごくカッコいい。

ちなみにこのアストンマーチンはローワン・アトキンソンの愛車とのこと!
しかもカーアクションシーンはローワン・アトキンソン自ら運転していたらしい!
運転技術もすごいし、クラッシックな高級車を所有していて、惜しげもなく映画に使うのもすごい!

何にも考えずゲラゲラ笑おう!

映画を見るとその世界に没入できる。
ハラハラしたり、ドキドキしたり、泣いたり、笑ったり。
実際には体験しえないドキドキをアクション映画で味わったり、
ヒューマンドラマで、主人公の生き方に感動の涙を流したり、
ドキュメンタリー映画で提起された問題を真剣に考えたり、
いろいろな感情が、映画を見るだけで溢れ出す。

コメディー映画は笑える映画だ。(当たり前だ)
ひとは笑うとスッキリする。
『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』含めたコメディー映画を見て、いっぱい笑ってすっきりしよう。

最初に書いたように、『007』シリーズや他の映画のオマージュ(パロディー)を見つけるのも楽しいかもしれない。

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