単身赴任者の日常@南極 『南極料理人』atおうちシネマ<ちょっとネタバレあり>
単身赴任のおじさんたちの日常風景を描いた物語が映画になった。(2009年公開)
朝起きてごはんを食べて仕事して寝る。
そんな日常が料理担当者の目線で描かれている映画。
確かに単身赴任者の日常風景だが平凡ではない。
なぜなら彼らの赴任先が南極だからだ。

映画note 『南極料理人』
監督 沖田修一
脚本 沖田修一
原作 西村淳 『面白南極料理人』
出演 堺雅人 (西村淳:料理担当)
生瀬勝久 (本山秀行:本さん)
きたろう (金田浩:タイチョー)
高良健吾 (川村泰志:にいやん)
豊原功補 (福田正志:ドクター)
古舘寛治 (御子柴健:主任)
黒川大輔 (西平亮:盆)
小原正寛 (平林雅彦:平さん)
公開 2009年
あらすじ
海上保安庁の巡視船で調理を担当する職員(主計士)西村淳は、交通事故に遭ってしまった同僚の代わりに第38次南極地域観測隊に派遣されることになった。
場所は『ドームふじ基地』。(現在ドームふじ基地での通年滞在は中止されているそうです。)南極大陸に5つある日本の基地のなかで最も内陸にあり標高も3810mとかなり高い。
そのためペンギンやアザラシなどの動物はもちろん細菌も生息できない過酷な環境である。
8人の観測隊員たちは、各々研究や観測をしながら約1年半共同生活を送る。
まわりに店や娯楽施設はなく雪と氷ばかりの中での彼らの楽しみは、日々の食事であったり、彼女との衛星電話だったり、ドクターが営むバーだったり、雪原での野球だったり。
南極の基地という他とは隔絶された空間では、隊員たち一人一人にそれぞれのドラマがあり、西村が作る料理の数々がある。
ヒューマンドラマ?コメディー?グルメ?
※以下表記にネタバレあります
映画の冒頭、ブリザード吹き荒ぶ中を逃げ出すにいやん。
それを追う本さん他。本さん達につかまるにいやん。
にいやん「もう嫌なんです!」
本さん「甘ったれてんじゃねぇ!いいか…お前が強くなるしかねえんだよ!」
(兄やんを抱きしめる本さん)
本さん「やれるな?」
(頷くにいやん)
本さん「よし!じゃ、やるぞ‼ 麻雀。」
😯⁉
この映画でもっともシリアスなシーンはこちらで終了。
冒頭で暗く深刻な何かを思い起こさせ、「え?そういう系の映画だったの?」と観客を混乱させる。
でもその後は数々の美味しそうな料理と、隊員たちの毎日を明るく面白おかしく描いていく。
もちろん小さな事件や、単身赴任の難しさや、南極ならではの大変さも描かれているが、ネガティブな事柄も軽く明るく面白く表現されている。
全体的に軽く明るく楽しく観れる映画なのだが、これはいったいどんなジャンルにあたるのだろうか。
単身赴任者たちの日常風景を描いたヒューマンドラマ?
南極での生活を面白おかしく描いたコメディー?
これが南極で食べられるの?ととにかく驚き、自分も美味しいものが食べたくなる飯テロ・グルメ映画?
よくわからない。
私は食べることとコメディーが大好きなので、コメディー&グルメ映画としてこの映画を楽しんだ。
クセが強い単身赴任者たち クセが強い赴任先
コメディーでありグルメでありヒューマンドラマである『南極料理人』。
物語の軸は単身赴任者の日常である。
現代社会において単身赴任をしていることは尊いことで、家族の為組織の為に頑張る単身赴任者には頭が下がる思いではあるのだが、映画のテーマとしては地味だ。
映画そのものも一人一人にドラマはあるが大事には描かれておらず、全体的にアップダウンの少ない流れだ。
それなのに映画として成り立っているのはなぜか。
それは冒頭にも触れたが平凡ではない場所(南極)と登場人物たちのクセの強さゆえではないだろうか。
映画の舞台であるドームふじ基地含む南極の観測基地に赴いている人はみななんらかの研究者だったり、技術者だったり、エリートと呼ばれるような人々だろう。
そして研究のため、あるいは上層部から言われた等いろいろな理由はあるだろうが最終的には自ら南極に滞在するという決断をした胆力がある人達でもある。
クセがないわけない。
そんな彼らを間近に見ることができて原作者の西村さんは面白かったことであろう。
そのおかしみが映画でも描かれている。だからアップダウンは少ないけれど楽しめるのだろう。
また、南極という一般人には想像もつかない場所で起こる様々な事柄にも興味をそそられる。
南極では水は作るもの、とか
ミッドウィンター祭なるものが各国の基地で行われている、とか
「へぇー、そうなんだぁ。」と口を半開きにしながら感心した。
そもそもこの映画のロケ地はどこなんだ?まさか本当の南極?
調べてみたら北海道網走市でロケをしたとのこと。
南極にしか見えない(行ったことないけど)あの風景が日本国内にあるの?
地平線とか普通に見えていたけど?
ブリザードとか普通に南極っぽかったけど?(行ったことないけど)
網走の冬の気候の厳しさと日本の広さに驚きを隠せない。
食いしん坊にはたまらない美食の数々in南極
この映画で知ったことは南極でも美味しい料理が食べられていたことだ。
主人公西村の作る料理は家庭料理から本格フレンチまで多岐にわたる。
それがこれでもかと画面いっぱいに広がる。
南極という地で制限や違いがあるなか、工夫して楽しそうに料理を作る姿は本当にすごいと思う。
そして出来上がった料理の美しさに圧倒される。
本さんの「西村君、ここ南極だよね。」のセリフを私も言いたい。
気象学者のタイチョーがオーロラも放っておいてラーメンをすする気持ちが超わかる。
この映画を見終わると自分も美味しいものを食べたくなる。
♪エッビフッライ ♪エッビフッライ ♪エッビフッライ
